「取材のために訪れた向島は玉の井の私娼窟で小説家大江匡はお雪という女に出会い，やがて足繁く通うようになる．物語はこうして濹東陋巷を舞台につゆ明けから秋の彼岸までの季節の移り変りとともに美しくも，哀しく展開してゆく．昭和十二年，荷風（一八七九‐一九五九）五十八歳の作．木村荘八の挿絵が興趣をそえる」（岩波書店）岩波書店・昭和１２年８月初版発行の永井荷風 「墨東綺譚」挿絵は木村荘八、函付きです。経年によるヤケが函の背に少しありますが、本体には汚れ、書き込み、シールの剥がし跡、蔵書印などはありません。戦前発行の荷風の代表作で、このように状態の良い初版本は稀だと思います。函にはパラフィン紙掛けしていますが、撮影の為外しています。本であることをご理解の上、購入のご検討をお願いいたします。